神経線維腫症1型患者の神経線維腫内に生じた悪性末梢神経鞘腫瘍の1例

Malignant peripheral nerve sheath tumor arising within a neurofibroma in a patient with neurofibromatosis type 1

79歳，男性。思春期から全身に神経線維腫が多発していた。3週間前から背部の結節が増大，疼痛が出現した。初診時，背部に潰瘍を伴う40×40mm大の弾性硬，暗紅色腫瘤を認めた。組織学的に，神経線維腫の一部に強い核異型と多数の核分裂像を伴う，束状や渦巻き状に配列した紡錘形細胞の増殖および血管増生を認めた。異型細胞はp53陽性，Ki-67標識率は49％であった。神経線維腫内に生じた悪性末梢神経鞘腫瘍と診断し，2cmマージンで拡大切除した。神経線維腫症1型患者に生じる悪性末梢神経鞘腫瘍の多くは深部の蔓状神経線維腫が悪性転化して生じるが，皮表から突出した小型の皮膚神経線維腫内に生じた悪性末梢神経鞘腫瘍はまれである。