血栓性微小血管症を合併したIgA血管炎の1例

IgA vasculitis with thrombotic microangiopathy

60歳台，男性。初診の1年2カ月前に胃癌および大腸癌を指摘され，手術加療後，術後補助療法を継続していた。初診1週間前から両下肢を中心に浸潤を伴う爪甲大までの紫斑が出現し，急速に増数拡大した。皮膚には病理組織像で好中球核破砕性血管炎を認め，また腎生検でも血管炎とIgAの沈着が確認された。血液検査では腎機能の低下やIgAの上昇に加えて，血小板の著明な低下と溶血性貧血，破砕赤血球，尿潜血・尿蛋白が出現した。血栓性微小血管症の合併と判断し治療を速やかに行い皮疹，腎障害，血液尿所見は改善した。IgA血管炎に二次性の血栓性微小血管症を合併することはまれであるが，注意すべき合併症のひとつであると考えた。