下腿に多発皮膚潰瘍と石灰化および巨大疣状癌を生じた皮膚硬化型慢性移植片対宿主病の1例

Cutaneous sclerotic-type chronic graft-versus-host disease with multiple skin ulcers, calcification and giant verrucous carcinoma on the lower legs

43歳，女性。26歳時にPh染色体陽性急性リンパ性白血病と診断され，当院血液内科で血縁者間末梢血幹細胞移植を受けた。移植後急性移植片対宿主病を発症し，慢性移植片対宿主病に移行した。28歳時より四肢に硬化性変化，31歳時より両下腿に潰瘍を生じ当科に通院していた。39歳時より右下腿の結節が急速に増大し，右下腿の半分程度を覆う黄色の巨大腫瘍となったため，右大腿切断術を施行された。組織学的所見で腫瘍は疣状癌であり，腫瘍以外の皮膚には慢性移植片対宿主病の所見と石灰沈着を認めた。皮膚硬化型慢性移植片対宿主病は治療が難しく潰瘍や疼痛，関節拘縮をきたし日常生活動作（ADL）を強く障害する。潰瘍からは発癌のリスクもあり，適切な治療が望まれる。