Japanese
English
治療
エトレチナートが奏効した皮膚硬化型慢性移植片対宿主病の1例
Etretinate for the treatment of sclerodermatous chronic graft-versus-host disease
鈴木 洋介
1
,
畑 康樹
1
,
原藤 玲
1
,
田中 勝
1
,
西川 武二
1
,
森 毅彦
2
,
渡辺 玲子
2
,
岡本 真一郎
2
Yosuke SUZUKI
1
,
Yasuki HATA
1
,
Rei HARATOH
1
,
Masaru TANAKA
1
,
Takeji NISHIKAWA
1
,
Takehiko MORI
2
,
Reiko WATANABE
2
,
Shinichiro OKAMOTO
2
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
2慶應義塾大学医学部血液内科
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
2Department of Hematology, Keio University School of Medicine
キーワード:
慢性皮膚移植片対宿主病(GVHD)
,
硬化型病変
,
エトレチナート
Keyword:
慢性皮膚移植片対宿主病(GVHD)
,
硬化型病変
,
エトレチナート
pp.275-277
発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903884
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33歳,男性.急性骨髄性白血病に対して非血縁者間同種骨髄移植を行った.急性移植片対宿主病(graft-versus-host disease;GVHD)はみられなかった.苔癬型慢性GVHDの皮疹が移植の6か月後に出現したが,ステロイド・免疫抑制剤にて軽快した.移植から2年4か月後に上肢および躯幹に皮膚の硬化が出現した.生検にて真皮の膠原線維の増生がみられ,硬化型の慢性GVHDと診断した.ステロイド・免疫抑制剤増量にて軽快しなかったため,エトレチナート40mg/日の投与を開始したところ,約1か月後から皮膚の硬化が軽快傾向を示した.エトレチナートの皮膚硬化に対する有効性は確立されていないが,近年の研究成果からその可能性が示唆されている.これまで硬化型慢性GVHDに対してエトレチナートを用いた報告は本邦ではみられず,さらなる症例の集積が,今後強皮症を含めた皮膚硬化の機序の解明にも役立つことが期待される.
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