切開排膿のみで治癒したMycobacterium abscessus subsp. massiliense皮膚感染症の1例

Mycobacterium abscessus subsp. massiliense skin infection cured after incisional drainage alone

14歳，女性。3カ月前に右下眼瞼に紅色丘疹が出現し，拡大したため当科を受診した。右下眼瞼に35×25mm大の熱感と疼痛を伴わない囊腫を認めた。切開排膿し，抗酸菌培養と遺伝子検査で診断した。患者希望で抗菌薬を併用せず切開排膿のみで治癒し，その後1年以上再燃はない。Mycobacterium abscessus subsp. massilienseはMycobacterium abscessus complexの亜種であり，2004年に初めて独立して報告された。同定には遺伝子検査を要するため，同菌による感染症の報告は少ない。特徴はerythromycin ribosome methylase（41）遺伝子が欠失しているため，マクロライド系抗菌薬に良好な感受性があることである。切開排膿をはじめ外科的治療も有用とされ，症例によっては外科的治療のみで治癒しうると考えられた。