びまん性脱毛を伴ったVogt-小柳-原田病の1例

Vogt-Koyanagi-Harada disease with diffuse hair loss

42歳，男性。突如出現した頭痛，耳鳴と両眼の霧視のため当院眼科を受診し，Vogt-小柳-原田病と診断された。ステロイド全身投与で眼症状は改善したが，発症3カ月後より脱毛が出現したため当科を受診した。初診時，頭部全体の疎毛と易抜毛性があり，病理組織像で毛球周囲にリンパ球の浸潤を認めた。脱毛出現前に髄膜炎症状，眼症状を呈していたことからVogt-小柳-原田病に伴う脱毛と考えた。ステロイド外用を開始し，初診3カ月後には白髪の新生毛を多数認め脱毛は改善した。Vogt-小柳-原田病の脱毛はびまん性脱毛を呈することが多く，病理組織学的特徴は円形脱毛症に一致する。現時点では確立した治療法はないが，ステロイドの全身療法や外用療法が実施され予後が良好であることが多い。