増刊号 眼科診療のピットフォールあるある—対応スキル爆上げのヒント
5.強膜・ぶどう膜炎
Vogt-小柳-原田病—鑑別に難渋したときに行うべきこと
坪田 欣也
1
1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
キーワード:
Vogt-小柳-原田病
,
中心性漿液性網脈絡膜症
,
後部強膜炎
Keyword:
Vogt-小柳-原田病
,
中心性漿液性網脈絡膜症
,
後部強膜炎
pp.157-162
発行日 2025年10月30日
Published Date 2025/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790110157
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
Vogt-小柳-原田病(VKH病)は,両眼性の肉芽腫性ぶどう膜炎を呈する疾患である。急性期には,両眼性の滲出性網膜剝離や網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)の波打ち像がみられることが多いが,発症初期には先行して発症した片眼のみに眼所見がみられる場合もある。片眼性に滲出性網膜剝離や網膜色素上皮の波うち像がみられた場合,中心性漿液性網脈絡膜症(central serous chorioretinopathy:CSC),多発性後極部網膜色素上皮症(multifocal posterior pigment epitheliopathy:MPPE)や後部強膜炎などとの鑑別が必要となり,診断に苦慮することがある。VKH病に対して2001年に国際診断基準が作成されているが1),近年報告されている光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の有用性については当該診断基準に反映されていない2)。
本稿では,実際の症例を通じて,OCT所見や診断に難渋した際の鑑別法,臨床現場でのピットフォール,紹介のタイミング,スペシャリストが注視すべきポイント,そして最終的なTake-home messagesについて詳述する。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.