私の経験
Vogt-小柳-原田病に対するステロイド加療中にミオパチーを発症した1例
坂井 翔太
1,3
,
小澤 憲司
1
,
諸戸 尚也
1,3
,
高木 大介
1
,
眞鍋 裕紀
2
,
望月 清文
3
,
坂口 裕和
3
1大垣市民病院眼科(岐阜県)
2大垣市民病院リハビリテーションセンター(岐阜県)
3岐阜大学医学部附属病院眼科
キーワード:
副腎皮質ステロイド
,
フィナステリド
,
ミオパチー
,
Vogt-小柳-原田病
,
corticosteroid
,
finasteride
,
myopathy
,
Vogt-Koyanagi-Harada disease
Keyword:
副腎皮質ステロイド
,
フィナステリド
,
ミオパチー
,
Vogt-小柳-原田病
,
corticosteroid
,
finasteride
,
myopathy
,
Vogt-Koyanagi-Harada disease
pp.1367-1372
発行日 2023年11月5日
Published Date 2023/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003403
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ステロイドは自己免疫疾患に対して広く用いられているが副作用も多く,特にステロイドミオパチーは日常生活動作の低下をもたらし治療経過に影響を及ぼす。今回,Vogt-小柳-原田病(原田病)のステロイド加療中にステロイドミオパチーを発症した1例を経験したので報告する。症例は男性型脱毛症のためフィナステリドを服用していた42歳男性。3日前からの頭痛を伴う右眼視力低下を主訴に近医受診し,漿液性網膜剥離(SRD)を認め紹介受診となった。両眼の視神経乳頭は発赤・腫脹し,光干渉断層計では両眼後極の脈絡膜肥厚とSRDを,フルオレセイン蛍光眼底造影では視神経乳頭周囲に散在する顆粒状蛍光漏出を,髄液検査ではリンパ球優位の細胞数増多を認めた。以上より原田病と診断しステロイドパルス療法を開始し,4日目よりベタメタゾン4mg内服とした。同日より下肢のしびれ症状が出現,いったん軽快したが10日目に下肢のこむら返り様症状が出現した。MRIにより下腿筋萎縮を指摘され,神経内科でステロイドミオパチーと診断された。その後,歩行困難となり理学療法を開始するとともにSRD再貯留の有無を確認しながら早期のステロイド漸減ならびにフィナステリドの内服中止を行った。筋力は徐々に回復し,入院後2か月で退院となった。原田病のステロイド加療中にミオパチーをきたしたが,フィナステリドの関与も否定できなかった。治療開始前には保険未承認薬の使用歴も十分に確認することが大切である。
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