原著論文
甲状腺眼症における斜視残存に関連する因子の検討
久保 真衣
1
,
田邉 美香
1,2
,
高木 健一
1,3,4
,
田川 楓
1
,
田窪 美月
1
,
瀬戸 寛子
1
,
園田 康平
1,2
1九州大学病院眼科
2九州大学大学院医学研究院眼科学分野
3独立行政法人国立病院機構小倉医療センター眼科(福岡県)
4高木眼科医院(佐賀県)
キーワード:
甲状腺眼症
,
消炎治療
,
複視残存リスク
,
functional scoring method
,
FSM
,
垂直斜視角
,
vergence adaption
,
VA
Keyword:
甲状腺眼症
,
消炎治療
,
複視残存リスク
,
functional scoring method
,
FSM
,
垂直斜視角
,
vergence adaption
,
VA
pp.781-788
発行日 2024年8月5日
Published Date 2024/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003730
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目的
甲状腺眼症のステロイド治療および放射線治療後の斜視残存の関連因子について検討する。
対象および方法
2014年5月から2019年4月に九州大学病院眼科を受診し甲状腺眼症と診断され,ステロイド全身投与および放射線治療の前後で眼位,眼球運動,両眼単一視が評価可能であった24例を対象とした。消炎治療後複視が軽快したものを経過良好群(9例),複視が残存し斜視手術やA型ボツリヌス毒素療法,プリズム眼鏡等の追加治療が必要であったものを経過不良群(15例)とし,甲状腺疾患の罹患期間,複視出現から治療開始までの期間,甲状腺自己抗体値,初診時臨床活動スコア,罹患筋内訳,年齢,性別,基礎疾患,喫煙の有無を背景因子として抽出した。さらに治療前後のfunctional scoring method(FSM)を用いた両眼単一視,percentage of Hess area ratio(HAR%)の評価を行い両群間で比較した。
結果
経過不良群においてFSMスコアが初診時から有意に低値であり,治療後も改善はみられなかった。また経過不良群では経過良好群と比較し初診時の垂直斜視角が有意に大きく,初診時の垂直斜視角が増加するほどFSMスコアが低値になる負の相関を認めた。
結論
甲状腺眼症において初診時に垂直斜視角が大きく,FSMスコアが低値であると消炎治療後に複視残存のリスクがあると考えられた。
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