特集 第1部 最近の眼科薬物治療 Ⅶ.神経眼科疾患
4 甲状腺眼症に対する全身薬投与
伊藤 学
1
1オリンピア眼科病院(東京都渋谷区)
キーワード:
甲状腺眼症
,
甲状腺刺激ホルモン受容体
,
インスリン様成長因子1受容体
,
グルココルチコイド
,
ステロイドパルス療法
,
モノクローナル抗体
Keyword:
甲状腺眼症
,
甲状腺刺激ホルモン受容体
,
インスリン様成長因子1受容体
,
グルココルチコイド
,
ステロイドパルス療法
,
モノクローナル抗体
pp.1173-1178
発行日 2019年9月30日
Published Date 2019/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001381
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甲状腺眼症は自己免疫性甲状腺疾患であるバセドウ(Basedow)病に多く合併するが,甲状腺機能が正常であるeuthyroid Graves’ diseaseや橋本病でもみられる。眼瞼腫脹,上眼瞼後退,眼球突出,複視などの症状を呈し,機能面また容貌面でも患者のQOLを損なう。その本態は眼窩組織の自己免疫性炎症と考えられているが詳細な発生機序は不明である。甲状腺眼症に対しては免疫抑制療法としてステロイド治療が以前から行われており,現在も薬物治療の中心となっている。病状に応じてステロイドの局所投与と全身投与を選択あるいは組み合わせて治療を行っていくが,特に中等症から重症例で活動性の高い甲状腺眼症では全身投与を要する。そのほかにも抗炎症治療としていくつかの薬剤が使用されてきたが有効性と安全性を確立するには至っていない。近年,分子標的薬の開発が著しく進展しており,甲状腺眼症への効果が期待される薬剤も登場し注目されている。
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