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目的
眼内レンズ(IOL)挿入にはプリロード式やマニュアル式を含め多種多様な手術器具が普及しているが,IOL射出時のIOLの挙動は製品により異なる印象がある。そこで今回我々は各種IOL挿入器具やシステムにおけるIOL射出時のIOLの挙動を定量的に比較検討した。
対象と方法
IOL挿入器具やインジェクターシステムを垂直に固定してIOLの射出映像を動画で撮影し,ImageJを用いてIOL射出時のインジェクターとIOL光学部の成す角度をレンズの前方ループ射出時,光学部射出時,後方ループ射出時に分けて測定し比較検討した。用いたIOLと挿入器具はプリロード式IOL挿入システムとしてClareonⓇ IOLが装填されたAutonoMeⓇ(以下AM)とアクリソフⓇ IQ IOLが装填されたUltraSertⓇ(以下U),また,マニュアル式インジェクターとしてClareonⓇ IOLが装填されたMonarchⓇ Ⅳ(以下M)とアクリソフⓇ IQ IOLが装填されたASICO Royale ⅢⓇ(以下AR)である。IOL度数は10~25diopterであった(n=12~18)。
結果
臨床使用時に重要な後方ループ射出時における垂直方向のIOLの挙動に関してAR以外のインジェクターで光学部は強く角膜方向へ偏位し,偏位角度はU 24.6±8.1°>AM 23.7±10.1°>M 14.2±10.5°(平均±標準偏差)の順で大きかった。ARにおいては,他の器具とは逆に光学部は後嚢方向への偏位角度が−23.1±10.3°と強くなった。水平方向の比較ではすべてのインジェクターにおいて,光学部射出時から後方ループ射出が終了するまでに反時計回転する傾向を認めたが,AMはほかのインジェクターと比較し有意に大きな水平方向の回旋を認めた。
結論
IOL挿入時のIOLの挙動は製品により異なると考えられた。
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