特集 甲状腺眼症
2 甲状腺眼症活動期の治療
神前 あい
1
1オリンピア眼科病院(東京都)
キーワード:
甲状腺眼症
,
ステロイドパルス療法
,
MRI
,
clinical activity score
Keyword:
甲状腺眼症
,
ステロイドパルス療法
,
MRI
,
clinical activity score
pp.611-616
発行日 2023年7月5日
Published Date 2023/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003183
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甲状腺眼症の治療は球後の炎症がみられる活動期の消炎治療と非活動期の機能回復手術に分けられる。活動期の判定には,欧米の甲状腺眼症研究グループであるEUGOGO(European Group on Graves’ Orbitopathy)ではclinical activity score(CAS)が用いられる1)。自覚的所見の球後痛,眼球運動痛,他覚的所見の眼瞼発赤,眼瞼腫脹,結膜充血,結膜浮腫,涙丘腫脹の7項目の所見の有無で判定され,7項目中3点以上の陽性で活動性ありと診断される(図1A)。日本では自覚症状である痛みの訴えが少なく,また,外見上は炎症所見が目立たないために,CASでは活動性の判定が困難な症例がある(図1B)。よって,日本の甲状腺学会の治療指針では,MRIで活動性を評価するよう勧めている。脂肪抑制法であるSTIR(short TI inversion recovery)法,SPIR(spectral presaturation with inversion recovery)法などを撮影し,上眼瞼挙筋や外眼筋の炎症の有無を確認する(図2)。活動性を数値として判定するには,T2緩和時間2)3),T2 signal intensity ratio(T2SIR)4)などの指標が用いられ,治療効果の評価に有用である。
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