症例報告
妊娠15週に発症したVogt-小柳-原田病に対しステロイドパルス療法を施行した1例
福永 謙吾
1
,
米山 征吾
1
,
柏木 賢治
1
1山梨大学医学部眼科学講座
キーワード:
Vogt-小柳-原田病
,
ステロイドパルス療法
,
妊娠
,
Vogt-Koyanagi-Harada disease
,
steroid pulse therapy
,
pregnancy
Keyword:
Vogt-小柳-原田病
,
ステロイドパルス療法
,
妊娠
,
Vogt-Koyanagi-Harada disease
,
steroid pulse therapy
,
pregnancy
pp.393-398
発行日 2024年4月5日
Published Date 2024/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003591
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妊娠15週目にVogt-小柳-原田病を発症し,ステロイドパルス療法を施行し寛解した症例について報告する。患者は25歳女性,両眼の羞明・充血・眼痛・後頭部痛を自覚し,紹介受診した。矯正視力は右眼が0.5,左眼が1.2と右眼の視力が低下していた。眼底には両眼性に円形,類円形の網膜下液が多発し,脈絡膜も著明に肥厚していた。臨床経過と合わせてVogt-小柳-原田病が疑われたが,妊娠中のため髄液検査や眼底の造影検査は行わなかった。妊娠中のステロイド全身投与は発育不全や胎児死亡などの報告があり,産婦人科医師からも説明を重ね,ステロイドパルス療法を行う方針となった。治療開始後,自覚症状・視力・網膜下液の改善,脈絡膜の菲薄化がみられ,パルス療法を1コース行った後は内服に切り替え漸減していった。治療中に母子ともに合併症なく無事出産し,内服終了後も再燃なく経過した。妊娠中の患者にステロイドパルス療法を施行する際は,産婦人科との連携や患者・家族への十分な説明が必要と考えられた。
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