症例報告
血管新生緑内障を合併した慢性網膜壊死の1例
末武 将平
1
,
渡部 恵
1
,
日榮 良介
1
,
日景 史人
1
,
大黒 浩
1
1札幌医科大学眼科学講座
キーワード:
サイトメガロウイルス網膜炎
,
急性網膜壊死
,
慢性網膜壊死
,
血管新生緑内障
Keyword:
サイトメガロウイルス網膜炎
,
急性網膜壊死
,
慢性網膜壊死
,
血管新生緑内障
pp.1361-1365
発行日 2023年11月5日
Published Date 2023/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003402
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サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎は,一般的に臓器移植や悪性腫瘍,自己免疫疾患などの免疫機能が低下した患者に発症することが多いが,軽度免疫不全患者ではCMVが原因で急性網膜壊死(ARN)様の臨床像を呈する慢性網膜壊死(CRN)が近年報告されている。今回我々は,CRNに血管新生緑内障(NVG)を合併した症例を経験したので報告する。患者は68歳男性。左眼の霧視,視力低下を主訴に受診した。初診時視力は右眼(1.0),左眼(0.5),眼圧は右眼14mmHg,左眼37mmHg。右眼には特記所見なく,左眼の前眼部炎症と網膜血管の白鞘化,黄色滲出斑からARNを疑い,左硝子体手術+水晶体再建術+眼内レンズ挿入術を行った。血液検査ではCMV IgG抗体の上昇を認め,術中に採取した硝子体サンプルのPCR検査でCMVが検出された。術後,炎症所見は収まったがNVGを発症し,眼圧が50mmHg台まで上昇したため,線維柱帯切除術を施行した。術後眼圧は下降し,現在は安定している。CRNからNVGを併発する場合があるので慎重に経過をみることが必要である。
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