原著
増殖糖尿病網膜症に合併した血管新生緑内障に対するバルベルトインプラントの手術成績
本田 理峰
1
,
春日 俊光
1
,
村上 晶
1
,
松田 彰
1
1順天堂大学医学部眼科学教室
キーワード:
Baerveldt
,
血管新生緑内障
,
糖尿病網膜症
,
チューブ手術
Keyword:
Baerveldt
,
血管新生緑内障
,
糖尿病網膜症
,
チューブ手術
pp.957-962
発行日 2018年9月5日
Published Date 2018/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000784
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目的
バルベルト緑内障インプラント手術(BGI)は難治性緑内障に対する手術選択のひとつである。BGIを施行後1年以上経過を追えた糖尿病網膜症例の術後成績をレトロスペクティブに検討した。
方法
順天堂医院においてBGIを施行し,1年以上経過を追えた糖尿病患者21例21眼(男15眼:女6眼,平均年齢55.1±8.8歳)を対象に矯正視力,眼圧,合併症をレトロスペクティブに検討した。BGIはすべてプレートが350mm2で毛様体扁平部から挿入し,被覆部には保存強角膜を使用した。
結果
術前眼圧は41.3±9.2mmHg,術後12か月の眼圧は13.5±3.9mmHgと有意な低下を認め,点眼スコアも術前4.5から術後2.3と有意な低下を認めた。経過中2眼に光覚消失を認めた。術後合併症として,チューブ閉塞,チューブ露出が1眼ずつ。糖尿病網膜症に関連して術後網膜剥離を1眼,糖尿病黄斑浮腫の発症が1眼,繰り返す硝子体出血を2眼に認めており,強い視力障害を残している。
結論
BGIは糖尿病網膜症による血管新生緑内障が原因の高眼圧を抑える効果が非常に高く,今後も糖尿病網膜症の高眼圧治療に対するチューブインプラント手術の適応は拡大していくと考えられるが,一方で深刻な合併症も存在しそれを克服するまでには至っていない。
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