綜説
サイトメガロウイルス網膜炎の新しい病態
八幡 信代
1
1九州大学大学院医学研究院眼病態イメージング講座
キーワード:
サイトメガロウイルス網膜炎
,
慢性網膜壊死
,
網膜血管炎
,
免疫回復ぶどう膜炎
Keyword:
サイトメガロウイルス網膜炎
,
慢性網膜壊死
,
網膜血管炎
,
免疫回復ぶどう膜炎
pp.169-173
発行日 2023年2月5日
Published Date 2023/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003028
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サイトメガロウイルス(CMV)はヘルペス属DNAウイルスのひとつで,他のヘルペスウイルスと同様,初期感染後生涯潜伏感染する1)。世界人口の50~80%に潜伏感染しており,アジアでは欧米と比べて潜伏感染率が高い2)。これまで,CMVは後天性免疫不全症候群(エイズ)や造血幹細胞移植後などの高度免疫能低下状態でのみCMV網膜炎に代表されるCMV感染症を起こすと考えられてきた。しかし,近年の眼内液PCR(polymerase chain reaction)検査の普及により,従来CMV網膜炎が起こると考えられていなかった軽~中等度免疫抑制にある患者の眼内液からCMV遺伝子が検出され,典型的なCMV網膜炎とは異なる病態を呈することが明らかになった3)。さらに,高齢化や治療の進歩に伴い,従来の典型的CMV網膜炎の患者背景や予後も変わってきている。本稿では,CMV網膜炎の新たな病態について解説する。
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