症例報告
自然寛解した原発先天緑内障と考えられた1例
篠田 達郎
1
,
結城 賢弥
1
,
小野 岳志
1
,
坪田 一男
1
1慶應義塾大学眼科学教室
キーワード:
原発先天緑内障
,
自然寛解
,
角膜径拡大
,
primary congenital glaucoma
,
spontaneously resolve
,
expansion of corneal diameter
Keyword:
原発先天緑内障
,
自然寛解
,
角膜径拡大
,
primary congenital glaucoma
,
spontaneously resolve
,
expansion of corneal diameter
pp.519-524
発行日 2020年5月5日
Published Date 2020/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001664
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原発先天緑内障は隅角の発育異常が原因となり発症する緑内障であり,まれな疾患である。さらにまれではあるが,自然寛解をしたと考えられた症例が過去に報告されている。自然寛解例では特徴的な所見に乏しく診断が困難となることが多い。今回,我々は角膜径の拡大を認め,原発先天緑内障の自然寛解と診断した症例を経験したので報告する。
6歳男児。黒目が大きいことを主訴に受診した。初診時所見は裸眼視力が両眼とも0.4,矯正視力が右眼0.7p,左眼0.9であり,眼圧は反跳式眼圧計(iCareⓇ)による測定で右眼19mmHg,左眼17mmHgであった。角膜横径は両眼とも13.0mmであった。角膜後面にHaab’s striaeを認めた。瞳孔偏位や虹彩結節,虹彩後癒着,水晶体の混濁などの異常は認めなかった。眼底検査では両眼ともC/D比0.4と視神経乳頭陥凹の拡大はみられず,光干渉断層計(OCT)においても網膜神経節細胞複合体の菲薄化は認められなかった。以上より本症例は自然寛解した原発先天緑内障と診断した。
本症例は原発先天緑内障の自然寛解例であると考えられたが,同様の例では晩発性に緑内障を発症したケースもあり,今後も定期的な経過観察が必要であると考えられた。
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