症例報告
自然寛解した小児の黄斑上膜の1例
前田 菜津子
1
,
厚東 隆志
1
,
石田 友香
1
,
慶野 博
1
,
井上 真
1
,
平形 明人
1
1杏林大学医学部眼科学教室
キーワード:
黄斑上膜
,
小児
,
自然寛解
,
epiretinal membrane
,
juvenile
,
spontaneous remission
Keyword:
黄斑上膜
,
小児
,
自然寛解
,
epiretinal membrane
,
juvenile
,
spontaneous remission
pp.69-72
発行日 2024年1月5日
Published Date 2024/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003481
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症例は8歳男児。左眼の飛蚊症を主訴に近医を受診し,左眼黄斑上膜の診断で当科紹介受診となった。初診時,視力は右1.2,左1.2。右眼に異常なし。左眼は,前眼部・中間透光体に異常なく,眼底に白濁した明瞭な黄斑上膜と網膜皺襞がみられた。光干渉断層計(OCT)で,中心窩に向かって求心性に収縮した黄斑上膜が中心窩陥凹を挙上していた。眼外傷の既往はなかった。眼内の血管異常や炎症所見はなく,血液検査ではアンジオテンシン変換酵素(ACE)の軽度上昇のみで,自己抗体および抗寄生虫抗体検査に異常はなく,特発性黄斑上膜と診断した。1か月後のOCT所見では,中心窩周囲で網膜上膜は網膜界面と処々で間隙を生じていた。3か月後のOCT所見では,黄斑部の後部硝子体皮質前ポケットの剥離とともに黄斑上膜は中心窩と分離し,検眼鏡的に白色の黄斑上膜は消失した。中心窩陥凹も回復したが,わずかな変形は残存した。経過中,視力は1.2を維持した。硝子体変化によって白濁するほどの黄斑上膜が生じたが,後部硝子体剥離とともに自然消失した。
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