- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
アジスロマイシン点眼液は2007年にアメリカFDA(Food and Drug Administration)で結膜炎に対し承認されたマクロライド系抗菌薬でグラム陽性菌,グラム陰性菌に幅広く効果を示す広い抗菌スペクトルをもっており,さらに抗炎症作用をもつことが報告されている(表1)。発売後,off-labelでありながら,マイボーム腺機能不全(meibomian gland dysfunction:MGD)が関連する後部眼瞼炎に対しその有効性がアメリカ,ヨーロッパから報告され,今では30報以上の論文が発表されている1)~3)。また,長時間体内に留まる特徴がある。これは15員環に窒素原子が入っているという構造に由来し(図1),血中濃度より10~100倍の組織ならびに細胞内濃度を得ることができるため半減期が68.1時間(500mg全身投与時)と極めて長い。アジスロマイシン点眼液はDuraSiteⓇと混合させることで眼瞼への移行性,貯留性を高めている4)。アジスロマイシン点眼液(アジマイシンⓇ点眼液1%,千寿製薬)は本邦でも2019年9月に発売となり,適応患者に処方できるようになった。適応症は結膜炎,眼瞼炎,涙嚢炎,麦粒腫であるが,特に効果の期待される疾患としてMGDが関連する後部眼瞼炎が挙げられる。MGD関連後部眼瞼炎の病態として,細菌感染(特にCutibacterium acnes)をきっかけに細菌が産生するリパーゼによりマイボーム腺開口部の炎症や閉塞,マイバムの変性が引き起こされると考えられている5)。アジスロマイシン点眼液はC.acnesに対する静菌作用+リパーゼ産生を抑制する効果により後部眼瞼炎を改善させると考えられる1)5)。さらに,アジスロマイシンが直接,マイボーム腺の上皮細胞に作用し,脂の分泌を促進することが証明されている6)。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.