症例
左側腹部から背部に生じたChronic Expanding Hematomaの1例
西川 聡一
1
,
鈴木 利宏
,
塚田 鏡寿
,
嶋岡 弥生
,
濱崎 洋一郎
,
籏持 淳
1獨協医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
血腫
,
血小板減少症
,
背部
,
皮膚移植
,
腹部
,
免疫組織化学
,
筋皮弁
,
拡散MRI
Keyword:
Abdomen
,
Back
,
Hematoma
,
Immunohistochemistry
,
Thrombocytopenia
,
Skin Transplantation
,
Diffusion Magnetic Resonance Imaging
,
Myocutaneous Flap
pp.1275-1278
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016355251
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72歳男。約3年前に心房中隔欠損症に対する左広背筋皮弁術の既往があった。約3ヵ月前に左背部に腫瘤が出現し、徐々に拡大した。左側腹部の広背筋皮弁の縫合側に一致して弾性硬の6cm大の皮下腫瘤を認め、背部に10×5cm大の皮下腫瘤がみられた。血液検査で白血球数と血小板数の減少を認めた。MRIで左側腹部から背部にかけてT1強調像で淡い高信号、T2強調像でも比較的高信号、T1強調脂肪抑制像でも高信号を呈する被膜に被われた嚢胞性の腫瘤を認めた。全身麻酔下に腫瘤摘出術および分層植皮術を施行した。病理組織学所見で腫瘤の周囲に線維性の被膜、内側に出血を伴う腔の形成、腔周囲に炎症性細胞浸潤と毛細血管の増生を認めた。免疫染色で腫瘍性病変や悪性所見は認めなかった。以上より、chronic expanding hematomaと診断した。術後経過は良好で、術後6ヵ月の現在まで再発を認めていない。
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