発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011044274
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58歳男。35年ほど前に交通事故により左大腿骨開放骨折、左脛骨骨折骨折を受傷し、内固定手術を受けていた。大腿部の張りと鈍痛を自覚するようになり、前医にて骨腫瘍の疑いで当院紹介受診となった。単純X線にて、左大腿骨骨幹部で外側の骨皮質の連続性が絶たれ、前後方向には骨皮質の大きな膨隆所見と中心部に厚い骨硬化像を認めた。骨外には大きな軟部陰影があり、辺縁には斑点状の石灰化を多数認めた。CTにて骨皮質は腫瘤によって内側方向へ圧排され、前後方向に押し広げられたような形をとり、肥厚した骨皮質が髄腔を二分するように存在していた。針生検を行い、病理所見では、腫瘍は厚い線維性組織と器質化した無構造な血腫で、腫瘍性の細胞は認めなかった。また、毛細血管の増生が目立つ肉芽を皮膜下層に認め、大半が前2回同様の器質化した古い血腫であった。以上より、chronic expanding hematomaと診断した。腫瘤を辺縁切除した。周囲組織との癒着は比較的強かった。血腫の再発なく日常生活動作に支障はなかった。
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