発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003252310
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77歳男.右腸骨部の腫瘤を主訴とした.1998年に人工弁置換術を施行され,以降ワーファリン3mg/日を内服していた.2000年,直径約2cmの腫瘤を自覚したが,疼痛がなく放置していた.発症後半年頃には直径約10cmと増大し,近医では軟部腫瘍と診断されていた.画像所見,血液・生化学所見等により,軟部腫瘍やワーファリン内服が誘因となって発症した血腫等を疑った.診断確定のため,切開生検術を兼ねた腫瘍切除術を施行した.病理組織所見で,腫瘍性病変はなく,凝血組織の存在とその臨床経過から,陳旧性と判断して,chronic expanding hematomaと診断した.術後1年半の現在,血腫の再発はないが,外傷などの明らかな誘因もなく発症していることから,定期的な経過観察が必要であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003