特集 真菌症
細菌性皮下膿瘍として治療されていたケルスス禿瘡の1例
原田 優
1
,
鎌田 千恵
,
坂井 浩志
,
調 裕次
1NTT西日本大阪病院 皮膚科
キーワード:
誤診
,
頭皮疾患
,
禿瘡
,
膿瘍
,
表皮嚢胞
,
Itraconazole
,
皮膚疾患-細菌性
,
真菌培養
,
遅延診断
,
Trichophyton rubrum
Keyword:
Abscess
,
Diagnostic Errors
,
Epidermal Cyst
,
Scalp Dermatoses
,
Itraconazole
,
Skin Diseases, Bacterial
,
Delayed Diagnosis
pp.675-678
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016318342
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9歳女児。頭頂部の紅色ドーム状腫瘤を主訴とした。約半年前から頭頂部が脱毛し、近医皮膚科で細菌性皮下膿瘍を疑われ切開排膿されたが改善しなかった。その後、近医小児科で炎症性表皮嚢腫を疑われ、当科を紹介受診した。頭頂部右側に疼痛を伴う径3cm大の紅色ドーム状の肉芽腫様の腫瘤を認め、周囲に滲出液や膿、鱗屑、痂皮の固着を伴っていた。KOH直接鏡検で毛髪と鱗屑に菌糸を認め、真菌培養でTrichophyton rubrumを同定した。皮膚生検で病理組織学的に表皮は不規則に肥厚し、真皮全層、毛包周囲に高度の炎症細胞浸潤を認め、毛包の破壊を伴っていた。炎症細胞は好中球、リンパ球、形質細胞、組織球で構成されていた。Trichophyton rubrumによるケルスス禿瘡と診断し、イトラコナゾール内服を2mg/kgより開始した。その後、4mg/kgに増量して3ヵ月間内服後に略治した。
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