特集 筋膜・皮下組織の疾患
臨床例
臀部に生じた原発性皮膚ノカルジア症(菌腫型)
鈴木 智香子
1
,
下山 陽也
,
五ノ井 透
,
清 佳浩
1帝京大学医学部附属溝口病院 皮膚科
キーワード:
菌腫
,
ノカルジア感染症
,
脂肪腫
,
鑑別診断
,
臀部
,
表皮嚢胞
,
皮膚疾患-細菌性
,
皮膚外科
,
直腸肛門周囲膿瘍
Keyword:
Buttocks
,
Diagnosis, Differential
,
Epidermal Cyst
,
Mycetoma
,
Lipoma
,
Nocardia Infections
,
Skin Diseases, Bacterial
,
Dermatologic Surgical Procedures
pp.29-32
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2016108433
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<症例のポイント>ノカルジア属は、主として土壌中に存在する好気性放線菌の一種であり、脳、肺などとともに皮膚にも病変を作る。今回われわれは、臀部に生じたNocardia thailandicaによると考えられる原発性皮膚ノカルジア症(菌腫型)の1例を経験した。皮膚ノカルジア症は、齲歯や外傷、手術を誘因として発症し、部位は頭頸部が60~70%ともっとも多いが、自験例は誘因なく臀部に発症した。自験例は皮下腫瘤を呈し、粉瘤を疑い全摘出し、病理組織学的所見よりノカルジア症と診断した。日本での原発性皮膚ノカルジア症の起因菌としては、N.asteroides、N.brasiliensis、N.otiotidiscaviarumが多く、Nocardia thailandicaによる報告は角膜炎があるのみで極めてまれであった。
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