特集 真菌症
パキスタン人女児とその同居親族に生じたTrichophyton violaceumによる頭部白癬
永田 絢子
1
,
比留間 翠
,
神谷 由紀
,
深井 達夫
,
比留間 政太郎
,
大野 香奈
,
池田 志斈
1順天堂大学 医学部皮膚科学講座
キーワード:
真菌RNA
,
rRNA
,
経口投与
,
白癬-頭部
,
毛髪用剤
,
RNA配列分析
,
Pyrithione Zinc
,
Terbinafine
,
外国人
,
真菌培養
,
パキスタン
,
皮膚鏡検査
,
輸入感染症
,
Transcribed Spacer
,
Trichophyton violaceum
,
家族内感染
Keyword:
Administration, Oral
,
Hair Preparations
,
Pakistan
,
Tinea Capitis
,
RNA, Fungal
,
RNA, Ribosomal
,
Sequence Analysis, RNA
,
Dermoscopy
,
Pyrithione Zinc
,
Terbinafine
pp.670-674
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016318341
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症例は在日パキスタン人の4歳女児で、頭頂部の皮疹、脱毛およびそう痒を主訴とした。約半年前に両親、兄と共に生まれて初めてパキスタンへ帰省した。その頃より頭部に鱗屑が出現し、帰国後A型肝炎を発症した。同時期より頭部の鱗屑、そう痒、脱毛が悪化した。頭頂部全体に黄白色の中等度の鱗屑、痂皮が付着し、頭髪は疎となっていた。脱毛部の頭髪は短く切れ、black dotsがみられた。病毛は病理組織学的にパーカーKOH染色で病毛内に無数の毛内性大胞子菌性の寄生が確認された。ヘアブラシ培養、rRNAのITS領域遺伝子解析でTrichophyton violaceumを分離同定した。同居している母親の真菌培養は陰性であったが、兄と従妹は陽性であった。Trichophyton violaceumによる体部白癬と診断し、テルビナフィン塩酸塩半錠(62.5mg/日)の内服を1~2.5ヵ月間行った。また、ジンクピリチオン含有シャンプーを使用するよう指導したところ、治癒した。
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