特集 診断と治療に難渋した皮膚潰瘍
頭蓋骨露出に至ったメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)の1例
上野 真理恵
1
,
元村 尚嗣
1大阪市立大学 大学院医学研究科形成外科学
キーワード:
Methotrexate
,
鑑別診断
,
生検
,
X線CT
,
頭蓋骨
,
頭皮疾患
,
皮膚潰瘍
,
リンパ増殖性疾患
,
遅延診断
,
画像ガイド下生検
,
治療までの期間
,
頭部CT
,
腐骨
Keyword:
Skin Ulcer
,
Skull
,
Scalp Dermatoses
,
Lymphoproliferative Disorders
,
Methotrexate
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Diagnosis, Differential
,
Biopsy
,
Time-to-Treatment
,
Image-Guided Biopsy
,
Delayed Diagnosis
pp.643-650
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2022224300
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62歳男性。47歳より関節リウマチ(RA)に対してメトトレキサート(MTX)の内服中であった。今回、誘因なく後頭部の潰瘍が出現し、後頭部に頭蓋骨の露出を認めたため発症1年後に他院の皮膚科より当科へ紹介となった。初診時、後頭部に5cm大の骨露出を伴う潰瘍が認められた。洗浄処置とイソジンシュガーによる処置を行い、手術を予定していたが、手術待機中に左上腕、右前腕、左背部、腰部に壊死組織を伴うクレーター型の新たな潰瘍が発生した。種々の精査を行った結果、メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患と診断され、MTXの内服を中止した。2ヵ月後、頭部の排膿は完全消失し、半年経過で骨の再建を含めた頭部潰瘍の閉創手術が行われた。術後9ヵ月現在、頭部潰瘍の再発はみられず、全身の潰瘍も改善している。
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