症例
ミノサイクリン塩酸塩内服が有効であった穿孔性毛包炎の1例
飯島 茂子
1
1水戸済生会総合病院 皮膚科
キーワード:
Minocycline
,
血液透析
,
多剤併用療法
,
糖尿病性腎症
,
経口投与
,
皮膚疾患-下肢
,
毛包炎
,
Nalfurafine
Keyword:
Administration, Oral
,
Drug Therapy, Combination
,
Diabetic Nephropathies
,
Folliculitis
,
Renal Dialysis
,
Leg Dermatoses
,
Minocycline
,
TRK 820
pp.599-602
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280965
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症例は47歳男性で、糖尿病性腎症により週3回維持透析施行中であったが、10ヵ月前に膝に小さい丘疹が出現し、放置していたところ、多発した。10日前、ジフロラゾン酢酸エステル軟膏を処方されたが変化がなかった。両膝蓋を主に下肢伸側にわたって、毛孔一致性の角化性丘疹が多発していた。腎機能不全を示す所見の他、血糖・HbA1c・AST/ALT・中性脂肪・コレステロール値に異常はなかった。病理組織学的所見は角化部位に一致し毛包部に好酸性の角栓があり、角栓内に好塩基性の壊死物質がみられた。底部では毛包壁が薄くなり、変性した膠原線維が拡大した毛包内に侵入している所見と、毛包内の多数の好中球の集簇像がみられた。血液透析患者に生じていること、下肢伸側の毛孔一体性角化性丘疹であること、組織学的に経表皮性排泄(TEE)を認めることなどから、穿孔性毛包炎(PF)と診断した。治療はミノサイクリン(MINO)内服より開始し、外用は尿素軟膏を試みたが患部が痛くなるため中止し、カルシポトリオール軟膏を開始したが痒くなるため中止し、親水軟膏を継続塗付した。MINO内服4ヵ月後より角化性丘疹の縮小がみられ、5ヵ月後には明らかに扁平となり、6ヵ月後にはほぼ色素沈着舌。50mg/日に減量したが3週間後再燃したため100mg/日に増量し、1ヵ月内服で略治した。MINOは有効と判断したが、その後もそう痒を伴い再燃を繰り返すためナルフラフィン塩酸塩25μg/日を追加したところ新生疹は出なくなった。患者の希望でMINOは50mg/日で継続中である。
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