症例
舌咽神経麻痺による嚥下障害をきたした汎発性帯状疱疹の1例
松尾 梨沙
1
,
土井 春樹
,
水元 俊裕
,
橋本 喜夫
,
吉崎 智貴
,
本間 大
,
山本 明美
1旭川厚生病院 皮膚科
キーワード:
Aciclovir
,
Adenosine Triphosphate
,
Prednisolone
,
嚥下障害
,
喉頭鏡法
,
喉頭浮腫
,
絶食
,
多剤併用療法
,
経口投与
,
帯状疱疹
,
舌咽神経疾患
,
Mecobalamin
,
静脈内注射
,
静脈内注入
,
Hydrocortisone Succinate
,
オージオグラム
Keyword:
Acyclovir
,
Administration, Oral
,
Adenosine Triphosphate
,
Deglutition Disorders
,
Drug Therapy, Combination
,
Fasting
,
Laryngeal Edema
,
Injections, Intravenous
,
Herpes Zoster
,
Laryngoscopy
,
Infusions, Intravenous
,
Prednisolone
,
Glossopharyngeal Nerve Diseases
,
Cortisol Succinate
,
Mecobalamin
pp.595-598
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280964
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症例は74歳男性で、左耳介、耳介周囲に小水疱が出現し、嗄声、嚥下困難が出現した。顔面筋麻痺はなかった。左軟口蓋挙上不全があり、高音発声時に咽喉頭後壁が健側にスライドするカーテン徴候を認めた。舌の活動性は良好で、両側胸鎖乳突筋に運動障害はなかった。オージオグラムで高音域減弱型難聴を認めたが有意な左右差はなかった。内視鏡検査所見で、咽喉頭部では口蓋弓から上咽頭、下咽頭、喉頭左側に白苔の付着した糜爛を認めた。披裂部の浮腫、左喉頭蓋と仮声帯に白色粘膜疹があり、左梨状陥凹には唾液が貯留していた。声帯の動きに左右差はなかった。帯状疱疹および舌咽神経に伴う嚥下障害と診断し、咽頭の浮腫が著明のため、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム200mg/日を3日間、アシクロビル750mg/日点滴投与を開始した。神経障害に対してはビタミンB12、アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物内服を併用した。翌日から体幹に汎発疹を数個認め、嚥下障害が悪化したため絶飲食とした。ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムをプレドニゾロン(PSL)に切り替え、数日ごとに減量した。数日後には左軟口蓋挙上不全も軽快し、嚥下機能回復に伴い食事摂取が可能になった。
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