特集 薬疹・薬物障害
トラネキサム酸による多発性固定薬疹の1例
高橋 美咲
1
,
福田 英嗣
,
西川 沙織
,
西川 律子
,
向井 秀樹
1東邦大学医療センター大橋病院 皮膚科
キーワード:
Tranexamic Acid
,
多剤併用療法
,
経口投与
,
経皮投与
,
薬疹
,
Betamethasone Butyrate Propionate
,
Betamethasone-d-Chloropheniramine Maleate
,
内服誘発試験
Keyword:
Administration, Oral
,
Administration, Cutaneous
,
Drug Eruptions
,
Drug Therapy, Combination
,
Tranexamic Acid
pp.340-343
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016208969
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34歳女。10年前に市販のぺラックT錠を内服後、両大腿後面と右前胸部に紅斑が出現した。その後、同様の症状を2度繰り返していた。今回、感冒症状に対してトラネキサム酸などの薬剤を内服したところ、前回と同部位に紅斑が出現したため、当科を紹介受診した。初診時、両大腿屈側、左大腿伸側に境界やや不明瞭な紅褐色斑を認め、右前胸部には境界不明瞭な淡紅褐色斑がみられた。臨床所見および内服歴より、トラネキサム酸による固定薬疹を疑い、精査を実施した。DLSTとPTの結果は陰性であったが、内服誘発テストで皮疹が誘発されたことから、トラネキサム酸による多発性固定薬疹と診断された。誘発された紅斑はd-クロルフェニラミンマレイン酸塩・ベタメタゾン配合剤の内服とベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏の外用にて消退し、トラネキサム酸内服中止後は皮疹の再燃を認めない。
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