手術症例報告
胸腹部銃創による十二指腸損傷の1例
池田 知也
1
,
山内 淳一郎
,
石山 秀一
1仙台厚生病院 消化器外科
キーワード:
X線診断
,
開腹術
,
胸部外傷
,
銃創
,
十二指腸疾患
,
腹部外傷
,
胃空腸吻合術
,
十二指腸空腸吻合術
,
腸吻合術
Keyword:
Abdominal Injuries
,
Duodenal Diseases
,
Gastroenterostomy
,
Laparotomy
,
Radiography
,
Thoracic Injuries
,
Wounds, Gunshot
pp.203-206
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.18888/J00620.2017229641
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症例は34歳男性で、2時間前に右側背部から銃撃を受けた。細胞外液2000mLの補液と右側への胸腔ドレーン挿入が行われたのち、外傷センターへ搬送となった。銃創による胸腹部穿通外傷の診断で、緊急開腹手術とした。Kocherの授動を行うと、十二指腸下行脚の右壁に3cm大の穿孔を認め、十二指腸下行脚損傷と診断した。膵頭部・下大静脈に損傷はなかった。腹腔内を入念に検索するも、その他の明らかな損傷は認めず、銃弾も同定できなかった。腹腔内を洗浄後、Morrison窩と網嚢内にドレーンを留置し、閉腹した。第1病日、胸部レントゲンで右肺の拡張は良好で、腹部レントゲンでは左側腹部に銃弾を認めた。第4病日の腹部レントゲンでは銃弾は左下腹部へ移動し、第6病日の腹部レントゲンでは銃弾は確認されず、銃弾は腸管内に存在し、便として体外へ排出されたと考えられた。第10病日、経口摂取良好で、全身状態の改善を認め退院した。
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