手術症例報告
胃部分切除術(スリーブ状胃切除)で救命し得た壊死を伴う成人特発性胃破裂の1例
梶原 大輝
1
,
神賀 貴大
,
佐藤 好宏
,
竹村 真一
,
土井 孝志
1白河厚生総合病院 外科
キーワード:
胃切除
,
胃破裂
,
壊死
,
過食
,
臓器温存療法
,
腹部CT
Keyword:
Bulimia
,
Gastrectomy
,
Necrosis
,
Stomach Rupture
,
Organ Sparing Treatments
pp.197-201
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.18888/J00620.2017229640
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症例は39歳女性で、普段より過食の傾向で、時々腹痛があったが安静で改善した。起床時から腹痛が持続し、安静にしていたが症状は改善しなかった。腹部は著明に膨隆し緊満し、全体に強い圧痛を認めたが、筋性防御は認めなかった。著明なアシデミアと代謝性アシドーシスを認めた。腹部造影CTでは、腹腔内に多量の遊離ガスと腹水を認めた。胃穹窿部の造影効果が不良で破裂を疑う胃壁の断裂像を認めた。特発性胃破裂の診断で緊急手術を行った。病理組織学的所見では、炎症は軽度なものの、粘膜全体が著明な出血を呈し、胃穹窿部で筋層の菲薄化を認めた。口側の胃壁が全般的に肛門側に比べて筋層が薄く、循環不全が原因で壊死穿孔を起こしたと考えられた。術後は敗血症性ショックとDICにより集中治療を要したが、合併症なく経過した。術後第17病日に経口摂取を開始し、第27病日に退院した。
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