発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010107243
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19歳男。交通外傷、ショックを主訴とした。救急搬送時には左多発肋骨骨折、左鎖骨骨折、縦隔気腫、骨盤骨折、低体温、左胸腔内と腹腔内の液体貯留、肉眼的血尿を認めた。胸腹部外傷については左肺下葉背側裂傷からの出血、腹腔内大量血液貯留、腸間膜根部から骨盤腔にかけての後腹膜血腫、膀胱遊離腹腔内損傷を認め、胸腔ドレーン排液は持続した。ダメージコントロール(DC)として肝周囲、脾周囲の横隔膜下と骨盤腔内、後腹膜と膀胱前腔、肺下葉背側と胸壁との間にそれぞれガーゼを圧迫留置し、血圧と呼吸機能の維持が可能となったため、胸部DC手術後88時間で再開胸・開腹して左肺下葉切除を行い、救命しえた。lethal triadに陥った外傷に対する止血法としてのガーゼ圧迫留置は、胸部肺出血でも有効な場合があると思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010