臨床経験
散弾銃による胸腹部ならびに四肢損傷
直海 晃
1
,
親松 裕典
,
成田 久仁夫
,
中山 雅人
1愛知県がんセンター中央病院 呼吸器外科
キーワード:
横隔膜
,
銃創
,
心筋
,
心臓損傷
,
心膜
,
前腕外傷
,
X線CT
,
縫合法
,
小火器
,
背部損傷
,
裂傷
,
脾外傷
Keyword:
Diaphragm
,
Forearm Injuries
,
Firearms
,
Heart Injuries
,
Myocardium
,
Pericardium
,
Suture Techniques
,
Wounds, Gunshot
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Back Injuries
,
Lacerations
pp.98-101
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015140383
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
69歳男。狩猟中に約50m後方から散弾銃を誤射され、救急搬送された。来院時、意識は清明で、呼吸苦はなく、四肢冷感がみられた。銃弾による挫滅創を左背部と左大腿部に2ヶ所および右前腕に認め、右前腕と左背部皮下にあった銃弾は直ちに摘出した。画像検査で心嚢内と脾臓内に弾丸を認めた。心嚢内の弾丸を摘出し、脾臓内の弾丸は摘出しなかったが、弾丸汚染による感染症や鉛中毒は受傷後1年の現在まで認めておらず、経過良好である。本例は誤射された距離が約50mと比較的離れていたために、散弾銃創としては少ない弾丸数による損傷で済んだと思われた。また、心筋を損傷したものの、右心系で創が小さかったため大量出血はせず、さらに血液が胸腔へ流れたことにより心タンポナーデが回避されたと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2015