特集 Physical Examinationを身につける
治す 弁膜症の手術適応・術式をphysical examinationから考える
山崎 直仁
1
1高知大学 医学部老年病・循環器内科学
キーワード:
拡張期
,
頸静脈
,
静脈圧
,
心室
,
心臓聴診法
,
術前評価
,
心不全
,
心房細動
,
僧帽弁狭窄症
,
僧帽弁閉鎖不全症
,
大動脈弁狭窄症
,
大動脈弁閉鎖不全症
,
肺高血圧症
,
拍動流
,
脈拍
,
理学的検査
,
収縮期雑音
Keyword:
Aortic Valve Insufficiency
,
Aortic Valve Stenosis
,
Atrial Fibrillation
,
Diastole
,
Heart Ventricles
,
Hypertension, Pulmonary
,
Jugular Veins
,
Heart Failure
,
Heart Auscultation
,
Mitral Valve Insufficiency
,
Mitral Valve Stenosis
,
Physical Examination
,
Pulsatile Flow
,
Pulse
,
Venous Pressure
,
Systolic Murmurs
pp.256-261
発行日 2018年3月9日
Published Date 2018/3/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018126111
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心臓弁膜症患者を手術にまわすかどうかの治療方針の決定は、ガイドラインを参考にしながら、自覚症状の有無や心エコーの計測データを基になされる。各学会から出されている弁膜症の手術適応のガイドラインをみると、身体所見に関する記載はほとんど見当たらない1-4)。しかし、このことは心臓弁膜症の診断・治療に際し、身体所見が重要でないということでは決してない。そもそも弁膜症の患者を最初にピックアップし、心エコーにまわすという判断は、聴診を中心とした循環器physical examinationからスタートする。さらには、心エコーから得られたデータが、いつも真実の値であるとは限らないことに留意すべきである。例えば大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)の患者で大動脈弁通過血流の最高流速をエコーできちんととらえ損ね、ASの重症度を過小評価してしまうケースがある。こういった場合、身体所見からASが重症であると予測していると、心エコー検査で得られたデータが真の値ではないと疑い、再検を指示することができる。心エコーのデータが身体所見から推定される重症度と合致するのか、常に比較検討することが重要である。このような背景のもと、本稿では、手術適応となるような重症の心臓弁膜症で認められる身体所見につき解説していく。
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