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昔に比べリウマチ熱の合併症としての僧帽弁狭窄症(mitral stenosis:MS)や大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)は減少したものの、動脈硬化性のASは高齢化の進む現代において増加傾向である。また経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)や、僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation:MR)に対して今後選択肢となりうる経カテーテル僧帽弁形成システム(MitraClip)などの登場により、治療対象となる弁膜症患者は増加していくことが予想される。従来の開胸手術でも、これらの新しい治療でも至適時期に治療するためには、自覚症状の出現を待つだけでは不十分であり、より積極的に発見する努力が求められる。治療時期を逃さず、早期発見するためにはどうするべきか。弁膜症の高齢者は、症状が比較的緩徐に進行するため自覚症状の進行を「年齢相応」と思うことも多く、自覚症状のみでは発見できない。しかし、高齢者全員に心エコーを施行することは現実的ではない。症状を自覚しない高齢者にも積極的に身体所見を取りにいくことで、弁膜症発見の機会を増やすことができる。また、身体所見は、しばしば検査所見の誤りを客観的に見直すことができる。また、聴診は身体所見の一部と認識すべきであり、患者の体をよく見て、触り、疑いの目をもって診察することが重要である。弁膜症の診察では、1)病歴・問診のみに頼らない、2)検査に頼らない、3)すぐに聴診するのではなく、視診・触診にも重きをおく、といったことが重要となる。ここでは、主に3)の診察を中心に解説していく。
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