特集 Physical Examinationを身につける
治す 身体所見から治療方針を探る(Case 2)
稲波 整
1
1みどり病院 循環器内科
キーワード:
拡張期
,
胸骨
,
胸部X線診断
,
三尖弁狭窄症
,
心音図検査
,
心電図
,
心房中隔欠損
,
肺動脈弁狭窄症
,
拍動流
,
カラーDoppler心エコー図
,
経食道心エコー図
,
収縮期雑音
,
心臓中隔欠損孔閉鎖装置
Keyword:
Diastole
,
Electrocardiography
,
Heart Septal Defects, Atrial
,
Phonocardiography
,
Pulsatile Flow
,
Pulmonary Valve Stenosis
,
Radiography, Thoracic
,
Sternum
,
Tricuspid Valve Stenosis
,
Echocardiography, Transesophageal
,
Echocardiography, Doppler, Color
,
Systolic Murmurs
,
Septal Occluder Device
pp.268-274
発行日 2018年3月9日
Published Date 2018/3/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018126113
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最近の画像検査の進歩は著しく、循環器領域も例外ではない。また脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)の測定が外来で簡単にできてしまうので、心不全の診断も採血でできてしまう。身体所見を取ることができなくても、エコーやCTや採血検査などではるかに正確な情報が得られると考えている方もいるかもしれない。しかしそうではなく、身体所見とほかの検査所見を加味して病態を把握し、的確な治療方針を立てることが重要である。以前に、胸痛で他院に救急搬送され冠動脈造影で狭心症は否定された患者がいた。聴診すると駆出性収縮期雑音を聴取し、重症の大動脈弁狭窄症であった。おそらく聴診を怠っていたのだろうと思われるが、改めて身体所見を取る重要性を感じることになった。身体所見は非侵襲性で、被曝もなく、リアルタイムの情報を何度も得ることができる。往診や外来で毎回心エコー図検査を行うことは現実的ではない。その身体所見の精度を上げてくれるのが、今日の画像診断の進歩であったりするので、常に新しい検査方法と身体所見とを比較しながら臨床を行うことが、自身の新たな知見になるのではないかと思われる。ここでは、心雑音を検診で指摘されて診断に至った心房中隔欠損症の症例を提示する。この症例では、身体所見にて手術が必要と考えるほど心房中隔欠損孔が大きく、シャント量が大きな症例であった。
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