特集 Physical Examinationを身につける
診る 右心不全はこう診る
佐藤 徹
1
1杏林大学医学部附属病院 循環器内科
キーワード:
下腿
,
肝臓疾患
,
頸静脈
,
静脈不全
,
心不全
,
浮腫
,
拍動流
,
仰臥位
,
座位
,
視診
,
内頸静脈
,
心房圧
Keyword:
Sitting Position
,
Edema
,
Jugular Veins
,
Heart Failure
,
Liver Diseases
,
Leg
,
Pulsatile Flow
,
Venous Insufficiency
,
Supine Position
,
Atrial Pressure
pp.215-220
発行日 2018年3月9日
Published Date 2018/3/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018126104
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右心不全の診察所見は左心不全とは異なる点が多々あり、心不全一般の所見として考えるよりは、これのみを1つの対象として検討したほうがよい。右心不全と診断できる診察所見として、直接的にそれを示す所見としては頸静脈怒張(jugular vein distension:JVD)、右心性SIIIがある。頸静脈を視診して右房圧を推定できるが、推定右房圧が明らかに正常を逸脱して高いと、右心不全の可能性が高い。一方、右心不全の原因疾患として最多の肺高血圧症患者の心音図を記録して正確に評価した自験例の解析では、右心性SIIIの出現は非常にまれで、聴診でSIIIのように聞こえても実際にはSIVであることが多かった。従って、右心性SIIIは左心不全のときほどは有用でなかった。そこで、右心不全と診断する所見として、頸静脈の視診で明らかとなる、右房圧の推定法についてまず概説する。ここで注意が必要なのは、心不全とは、「症状があって、生理学的に低心拍とうっ血を示し、神経体液因子が活性化され、運動能力が低下する症候群」と定義されており、内頸静脈視診で右房圧高値が示唆されても、それは心不全の必要条件でしかないことを認識しておかなければならない。次いで右心不全の診断に有用な所見は、右心不全の結果として生ずる静脈うっ血を診察により検出することで、肝うっ血と下腿浮腫が主なものとなる。この2つの診かたについて示し、最後にSIIIについて触れたい。
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