Japanese
English
特集 ロコモティブシンドロームの現況
Ⅱ.病態・診断
3.中枢性感作とロコモ
Association between central sensitization and locomotive syndrome
橋爪 洋
1
,
竹下 達也
2
,
岡 敬之
3
,
宮井 信行
4
,
有田 幹雄
5
,
山田 宏
1
H. Hashizume
1
,
T. Takeshita
2
,
H. Oka
3
,
N. Miyai
4
,
M. Arita
5
,
H. Yamada
1
1和歌山県立医科大学整形外科
2和歌山県立医科大学公衆衛生学
3東京大学22世紀医療センター運動器疼痛マネジメント & リサーチ
4和歌山県立医科大学保健看護学部
5角谷リハビリテーション病院
1Dept. of Orthop. Surg., Wakayama Medical University, Wakayama
キーワード:
central sensitization
,
locomotive syndrome
,
general population
Keyword:
central sensitization
,
locomotive syndrome
,
general population
pp.539-542
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_539
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は じ め に
中枢性感作(central sensitization)とは,「中枢神経系における,侵害受容ニューロンの正常あるいは閾値以下の求心性入力に対する反応性の増加」と定義される1).つまり,中枢性感作が生じると正常では痛みと感じないようなわずかな刺激に対し痛みを感じる状態になる.近年,慢性疼痛の発症に中枢性感作が関与することが報告される2)とともに,中枢性感作のスクリーニングツール(問診票)が開発された3)ことにより,臨床現場において中枢性感作と運動器疾患の関係が注目されている.しかしながら,一般住民における中枢性感作の実態についての報告は,われわれが渉猟しえた限りほとんど見当たらない.
われわれは中枢性感作状態においては痛みにより日常生活が制限されるため,非感作状態よりもロコモティブシンドローム(ロコモ)に陥りやすいという仮説を立て検証した.本研究の目的は,これまで実態が不明であった,一般住民における中枢性感作の疫学指標ならびにロコモとの関連を明らかにすることである.
© Nankodo Co., Ltd., 2021