Japanese
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特集 ロコモティブシンドロームの現況
Ⅱ.病態・診断
6.転倒とロコモ
Relationship between falls and locomotive syndrome
木村 敦
1
A. Kimura
1
1自治医科大学整形外科
1Dept. of Orthopaedics, Jichi Medical University, Shimotsuke
キーワード:
cervical spondylotic myelopathy
,
falls
,
locomotive syndrome
Keyword:
cervical spondylotic myelopathy
,
falls
,
locomotive syndrome
pp.552-555
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_552
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は じ め に
65歳以上の高齢者は約30%が1年に1回以上転倒し,そのうち約50%は複数回転倒することが指摘されている1).転倒者の約10%が骨折を含む重度の外傷を受傷し,転倒による骨折の大半は大腿骨近位部骨折,脊椎圧迫骨折,橈骨遠位端骨折などの骨脆弱性骨折である.『平成30年版高齢社会白書』2)によると,65歳以上の高齢者が要介護となった原因として,「骨折,転倒」が12.5%を占めており,「認知症」(18.7%),「脳血管疾患」(15.1%),「高齢による衰弱」(13.8)に次ぐ第4位の頻度と報告されている.
ロコモティブシンドローム(ロコモ)は,移動能力の低下によって要介護となるリスクが増大した状態と定義される.ロコモによる移動能力の低下は転倒リスクの増大につながる可能性があり,転倒による外傷はさらに移動能力を低下させるという負のサイクルを形成することが危惧される.しかしながら,ロコモと転倒の関連に関しては不明点が多い.本稿では,筆者らが後縦靱帯骨化症研究班の多施設研究として実施した「圧迫性頚髄症手術前後の転倒と転倒による症状悪化に関する検討」における前向き観察研究のデータ3)から,頚髄症患者におけるロコモと転倒に関する解析結果を要約する.
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