特集 急性中毒の初期診療と管理―内科医が読んでおきたい診断・治療のケース集
[Chapter 2] ケースで学ぶ 急性中毒の診断と治療
[F.有毒ガス]
塩素ガス
花澤 朋樹
1
1埼玉医科大学 臨床中毒学
キーワード:
塩素系洗剤
,
酸性洗剤
,
塩素ガス中毒
,
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
Keyword:
塩素系洗剤
,
酸性洗剤
,
塩素ガス中毒
,
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
pp.1097-1099
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_1097
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★塩素ガスは,塩素系洗剤と酸性洗剤の混合などにより発生する.塩素ガスは,最終的に塩酸と酸素フリーラジカルとなり毒性を発揮し,眼や皮膚,上気道,下気道などが傷害される.重症の塩素ガス中毒では咽頭・喉頭浮腫,急性呼吸窮迫症候群(ARDS),肺水腫,化学性肺炎,呼吸不全から死に至ることがある.また,反応性気道機能不全症候群(RADS)を発症することがある.
★遅発性にARDS・肺水腫を発症することがあるため,十分な経過観察を要する.
★治療として,酸素投与,人工呼吸器管理,β2刺激薬の吸入,ステロイドの吸入および全身投与,炭酸水素ナトリウム水溶液の吸入が有効である.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容

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