特集 衛生監視制度
研究
富山化学の塩素ガス漏洩事件
亀谷 統三
1
,
三浦 大助
1
,
中田 慶子
1
,
土肥 祐輔
1
,
柳田 純孝
2
,
織部 道雄
3
1富山県厚生部
2富山県警察本部
3富山県厚生病院
pp.162-170
発行日 1966年3月15日
Published Date 1966/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203217
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はじめに
昭和34年以来続いた池田内閣の経済成長政策は,所得倍増計画とあいまって,わが国の歴史始まって以来の好景気を出現した。しかしその反面,都市においては,入口の過密や公害の発生など,幾つかの弊害もまた副産物として産みだされている。特に公害の問題が住民の日常生活に著しい被害を与えているところも少くない。熊本県の水俣病,三重県の四日市喘息などは,その代表的なものである。これらの公害の問題は,起っては忘れられ,忘れられた頃にまたどこかで発生を繰り返すなど,閑却視されがちなのが現状である。昭和39年9月14日,富山化学工業KK富山事業所において発生した塩素ガス漏洩事件も,公害問題などに関心のうすい,裏日本の中都市の真只中で起った事件であった。この種の事件は,わが国でも始めての経験であるので,ここに事件の概要をまとめて報告し,今後この種の事件の発生を防止するための資料にしたい。
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