特集 呼吸療法の基礎と臨床 ─呼吸生理の理解を踏まえて─
Ⅱ 呼吸生理学を活かした呼吸療法の実際 PEEPの功罪と使用方法
片岡 惇
1
1練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
キーワード:
呼気終末陽圧(PEEP)
,
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
人工呼吸器関連肺傷害(VALI)
,
経肺圧
,
電気インピーダンストモグラフィ(EIT)
Keyword:
呼気終末陽圧(PEEP)
,
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
人工呼吸器関連肺傷害(VALI)
,
経肺圧
,
電気インピーダンストモグラフィ(EIT)
pp.538-548
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.15105/CE.0000002119
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呼気終末陽圧(PEEP)は,呼気時に大気圧以上の陽圧をかけることで肺胞虚脱を予防し,酸素化や呼吸仕事量を改善させることを目的とするものである.2000年代には急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者に対して高めのPEEPを用いる検討が多く行われ,「ARDS=high PEEP」という印象が根付いたものの,高過ぎるPEEPは循環動態への悪影響や肺の過膨張による肺傷害などが懸念されており,2023年に発表された最新のESICM ARDSガイドライン1)においては,「死亡率改善を目的としてARDS患者に,低めのPEEPではなく高めのPEEPを設定するかどうか明確な推奨はできない」と記載されるようになった.本稿では,ARDSを中心に,PEEPの功罪,さまざまな手法によるPEEP決定法,そのなかで臨床現場で実際にどのように設定すべきかを論じる.

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