臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
114.Cl(塩素)
椿原 美治
1
,
飯田 喜俊
1
Yoshiharu Tsubakihara
1
,
Nobutoshi Iida
1
1大阪府立病院・腎疾患センター
pp.2378-2379
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219435
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異常値を示す疾患
Clは血漿の陰イオンの中でHCO3-とともに主要な部分を占め,神経,筋機能,酵素活性,その他に重要な役割を果たしている.また,腸管や腎尿細管などにおいてC1自体の調節機構が見出され,これらの異常による血清C1値の変動も報告されている.
しかし,一般に血清C1値の異常は,NaやHCO3-濃度の変化をきたす病態により二次的に惹起されることが多い.この意味でC1は陰イオンの総和を調節する,いわゆる“balancing ion”と考えるのが便利である.とくにC1とHCO3-は互いに補い合う関係にあり,HCO3-が増加するとC1が減少し,HCO3-が減少するとC1が増加し,クロール・重炭酸塩移動(chloride-bicarbonate shift)と呼ばれている.
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