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付帯研究26
緩和ケア病棟で死亡したがん患者の自費診療による治療の使用実態と家族の体験
吉田 詩織*1,勝俣 範之*2
*1Shiori YOSHIDA:東北大学大学院医学系研究科 がん看護学分野/がん看護専門看護師
*2Noriyuki KATSUMATA:日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科
はじめに
がん患者は通常,手術,抗がん薬,放射線,免疫療法(ニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬など)といった治療効果が証明されている保険適用の最先端治療を受け,それらは「標準治療」と呼ばれる.しかし,効果が証明されていない免疫細胞療法,がんワクチンなどの代替療法が一部の民間診療所で高額な自費診療で提供されており,がん患者が藁(わら)をもつかむ思いで治療を受けている実態がある.
付帯研究50
補完代替医療の使用と遺族の抑うつや悲嘆との関連を探索する研究
中西 絵里香*1,鈴木 梢*2
*1Erika NAKANISHI:東北大学大学院 医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野博士後期課程,高村内科クリニック
*2Kozue SUZUKI:がん・感染症センター都立駒込病院 緩和ケア科
はじめに
世界において約51%のがん患者が補完代替医療を使用していることをご存じだろうか1).私たち医療者は,がん患者が精神的な希望をもち続けるため2),藁をもすがる思いで補完代替医療を使用している患者に出会うことは少なくない.そのような中,補完代替医療を使用している患者とまわりのご家族に,どのように寄り添っていけばよいのだろうか.
本研究は,がんを完全に治したりがんの進行を遅らせるために,補完代替医療を使用しているがん患者の実態と,補完代替医療の使用と遺族の抑うつおよび悲嘆との関連性について遺族調査を行った.本研究結果によって,がん患者のケアを行う医師,看護師,栄養サポートチームなどの医療者が,補完代替医療の使用とその背景について理解を深めることで,患者と家族のサポートにつながる一助になることが望まれる.
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