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付帯3
遺族から見た望ましい死亡確認の仕方に関する研究
羽多野 裕
Yutaka HATANO:ガラシア病院ホスピス
はじめに
遺族の悲嘆は死別時のさまざまな状況に影響されるが,死亡確認という作業は悲嘆のプロセスにおいて重要な瞬間のひとつであり,死亡確認時の医師の立ち振る舞いは遺族の悲嘆プロセスに影響を与えることが予想される.そのため医師にとって,死亡確認の方法や望ましい立ち振る舞いについては必須の技術であるとされておりガイドラインも策定されているが,実臨床においては必ずしも順守されていないことが報告されている.
本研究に先駆けて行われた日下部医師らの在宅で看取った遺族を対象とした調査では,ほとんどの遺族が医師の死亡確認の立ち振る舞いに満足している,という結果であった1).しかし,在宅以外の死亡場所についての調査はいまだ行われていなかった.緩和ケア病棟で最期を迎える患者は増えており,緩和ケア病棟での望ましい死亡確認について知ることは重要である.
付帯9
死が差し迫っていることを家族にどのように伝えるとよいか
森 雅紀
Masanori MORI:聖隷三方原病院緩和ケアチーム
はじめに
死が差し迫っている(死亡直前期の)がん患者において,死が差し迫っていることについて家族に説明することは重要である.家族にとっては患者とできるだけ時間を過ごす,仕事や家庭内の調整を行うなど死を前提とした行動をとることに繋げられ,それが悲嘆に対する心構えにもなる.国際的にも,死が差し迫っていることを患者・家族に説明することが推奨されている.たとえば英国のNICEのガイドラインでは,患者に死亡直前期について説明すること,患者・家族と協働して死亡直前期の意思決定を行うことを推奨している.日本では,死亡直前期については主に家族に伝えることが多い.しかし,死亡直前期について医療者がどのように家族に説明しているか,家族がそのような説明をどのように感じているかは明らかではない.
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