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付帯研究7
死亡直前期の病状説明に対する遺族の満足度と医療者の取るべき態度
平山 英幸*1,前田 一石*2
*1Hideyuki HIRAYAMA:東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野博士後期課程
*2Isseki MAEDA:医療法人協和会千里中央病院 緩和ケア科
はじめに
死亡直前期(患者死亡までの数日~数時間)は病状が大きく変化する時期であり,家族は患者の病状について正しい情報を得て,看取りに備えることが重要である1).しかし,医療者も変化の予測がむずかしいなかで,病状説明を行うタイミングやその内容には正解がなく,家族とのコミュニケーションのなかで必要な説明を行うことが求められる.病状の把握ができておらず,患者の急な変化についていけない家族もおり,医療者の説明に家族は十分満足をしているとは言いがたい.医療者はこれから看取りに備える家族に対してどのような態度でのぞむべきだろうか.
付帯研究9
患者・家族間のEnd of Life Discussionについての遺族の評価
辰巳 有紀子*1,荒尾 晴惠*2
*1Yukiko TATSUMI:京都先端科学大学 健康医療学部 看護学科
*2Harue ARAO:大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻看護実践開発科学講座
はじめに
患者・家族間のEnd of Life Discussion(以下EOLD)が行われることは,患者・家族にとって大きな意義がある1).
EOLDは,「がんが進行した状態にある患者に対して」「治療・緩和ケア・療養について話し合うこと」と定義されている2).EOLDに関する研究は日本でも行われており1,3),これらは,医療者が,患者・家族にとってもっともよい終末期医療の選択ができるように支援することを目的とした研究である.
一方で日本では,包括的・経時的な意思決定支援として「心積もりノート」という意思表示ツールが開発されている4).このノートは,治療・ケア選択をする際に,本人・家族が意思決定プロセスを適切に進められるように支援するために開発されたものであり,一般の高齢者が主な対象である.同時に日本では,もしものときを想定して意思や考えを記しておける「エンディングノート」も多種多様に販売されており5),高齢者を中心として使用されている.言い換えれば,(広義の)EOLDはがん罹患前から患者-家族間でEOLDが自発的に行われていた可能性がある.しかし,そうしたEOLDの実態や,結果として患者の意思・希望を理解できているかは明らかでない.
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