連載 遺族の声を臨床に活かす ~J-HOPE4研究(多施設遺族調査)からの学び~ 【3】
家族 付帯研究25 がん患者の遺族の家族機能とうつ・複雑性悲嘆との関連/付帯研究28 専門的緩和ケアサービスを利用した患者の家族内葛藤に関する研究
pp.85-90
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_85
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付帯研究25
がん患者の遺族の家族機能とうつ・複雑性悲嘆との関連
平塚 良子*
*Ryoko HIRATSUKA:元東北大学大学院緩和ケア看護学分野/がん看護専門看護師
はじめに
終末期がん患者の家族や死別後の遺族の家族機能とうつや複雑性悲嘆との関連については,海外では多くのの研究がなされている1-3).我が国では,坂口らが家族機能に問題を抱える遺族は,うつや不安が強いことを報告している4).さらに,遺族は家族や親戚との人間関係の悪化や,死別後の行事や手続きの負担を経験し,それらが遺族のうつや不眠などに影響していることが報告されている5).
付帯研究28
専門的緩和ケアサービスを利用した患者の家族内葛藤に関する研究
大日方 裕紀*1,浜野 淳*2
*1Hirononi OHINATA:国際医療福祉大学成田看護学部,東北大学大学院医学系研究科保健学専攻博士課程
*2Jun HAMANO:筑波大学医学医療系臨床医学域総合診療医学・緩和医療学
はじめに
家族内の葛藤とは,夫婦や親子など家族のメンバー間で意見の食い違いや不一致が生じる事である1).家族内の葛藤があると,入院がん患者の苦痛,寂しさ,見捨てられ感に関係し,介護者の負担感,健康,抑うつ,怒り,悲嘆にも影響する2~6).
さらに,家族内の葛藤がある場合,医師や看護師などの多職種が患者や家族のニーズに応えることに悪影響を及ぼし,質の高いend of life careを阻害する因子となる7,8).そのため,家族内の葛藤がどれくらいの頻度で生じ,葛藤の内容および関連する因子を専門的な緩和ケアの提供場所ごとに明らかにする必要がある.
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