特集 がん薬物療法の看護技術
第Ⅲ章 有害事象
倦怠感×緊急性を見極めるケア
玉木 秀子
1
,
利根川 絹恵
2
1埼玉医科大学国際医療センター/がん看護専門看護師
2埼玉医科大学国際医療センター 病院看護部/がん化学療法看護認定看護師
pp.479-482
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_479
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はじめに
がん関連倦怠感(がん関連疲労)は「がんまたはがんの治療に関連した,身体的・感情(情緒)的・認知的な疲労感または消耗感で,最近の活動量には比例せず,通常の機能を妨げるような苦痛で,持続的な主観的感覚である」と定義される1).倦怠感が単一の症状であることはまれで,多くは疼痛,苦痛,貧血,睡眠障害などのほかの症状とともに現れる.そのため,がん関連疲労感(cancer-related fatigue:CRF)に気づかない,効果的な治療法がないと考えられている.
倦怠感は,治療中のがん患者が体験する一般的な症状であるが,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)による重度の免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAEs)で緊急性の高い症状となることがあり,症状アセスメントの複雑さが増している.
本稿では,がん薬物療法中の倦怠感の中でも緊急性を見極めるために行う症状アセスメントの技術,また倦怠感に対する看護ケアについて述べる.
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