Japanese
English
特集 疲労と精神障害―ストレス-疲労-精神障害について
がん患者の倦怠感(がんに関連する倦怠感)
Fatigue in Patients with Cancer (Cancer-related fatigue)
稲垣 正俊
1,2
,
内富 庸介
3
Masatoshi INAGAKI
1,2
,
Yosuke UCHITOMI
3
1国立精神・神経センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター適応障害研究室
2国立精神・神経センター精神保健研究所 老人精神保健部
3国立がんセンター東病院臨床開発センター 精神腫瘍学開発部
1Section of Medical Research for Suicide, Center for Suicide Prevention, National Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry, Kodaira, Japan
2Department of Psychogeriatrics, National Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry
3Psycho-Oncology Division, Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East
キーワード:
Cancer
,
Fatigue
,
Pain
,
Depression
,
Cytokine
,
Intervention
Keyword:
Cancer
,
Fatigue
,
Pain
,
Depression
,
Cytokine
,
Intervention
pp.587-595
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101223
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はじめに
倦怠感はがん患者の経験する最も一般的で苦痛な症状の1つであり,がんに関連する倦怠感(cancer-related fatigue;CRF)は疲労感,虚弱,エネルギーの欠乏感で特徴づけられ,休息や睡眠により回復する一般的な疲れとは区別される。CRFはさまざまながんで認められ,日常生活への障害も大きい。抗がん治療中だけでなく治療後にも認められる。がん自体からの影響もあれば抗がん治療の影響としても生じ,時として倦怠感のために抗がん治療を中止せざるを得ない場合もある。近年,CRFの重要性が認識され始め,国際疾病分類第10版修正版-臨床的修正(ICD-10-CM,2007年7月発表)においても新生物(悪性)に関連する倦怠感[R53.0, Neoplastic(malignant)related fatigue]として分類されている。
本稿では,①がん患者に認められる倦怠感と関連する他の症状について概観し(symptom cluster),その後,②定義・頻度・程度,③評価法,④病態機序,⑤治療法について述べる。病態機序については特に免疫系との関連について注目し記述する。
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