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付帯研究8
終末期がん患者の呼吸困難に対する望ましいケアに関する研究
山本 瀬奈*1,荒尾 晴惠*2
*1Sena YAMAMOTO, *2Harue ARAO:大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
はじめに
がんの終末期において呼吸困難は頻度が高く,もっとも緩和のむずかしい症状と言っても過言ではない.終末期の呼吸困難は死が近づくにつれて急速に増悪する特徴があり,そのマネジメントは専門的緩和ケアを実践している緩和ケア病棟(palliative care unit:PCU)でも困難さを伴う.呼吸困難は,患者を見守り,支える家族にとっても大きな影響を与えることが知られているが,家族は終末期呼吸困難に対するケアをどのように認識し,評価しているのだろうか.
付帯研究32
日本の終末期がん患者の「湯船につかる入浴」の意義
林 ゑり子*
*Eriko HAYASHI:横浜市立大学医学部看護学科/がん看護専門看護師
はじめに
日本国民は「湯船につかる入浴」の文化の中で生活をしている.「湯船につかる入浴」は,体を浄化する以外にリラックス効果により鎮痛や睡眠を促す目的でも行われている.浴槽での入浴は,豊富な水資源をもつ日本のユニークな文化といえる1~3).
がん終末期患者は,体力や意識が低下していることが多く,「湯船につかる入浴」の体験や安全面の実際について確認をした.先行研究で平山らは,医療現場における終末期がん患者に対する「湯船につかる入浴」を,まるで天国にいるような気分で快適である4)と報告し,Fujimotoらは,終末期がん患者の機械浴に関して,生理学的には循環動態に大きな変動を及ぼさず,心理学的には不安が低下しリラックスな状態であったことより,安全で安楽な看護ケアであると報告している5).
しかし,医療現場では,終末期がん患者の「湯船につかる入浴」を実施しているが,どの程度提供されているのか,実態はほとんど明らかにされていない.
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